飛行機

風立ちぬで戦争を考える・勝利の秘訣は武器の出来より情報収集

久しぶりにジブリから映画「風立ちぬ」が公開されると聞いて、さて映画館に見に行くかどうか迷ってます。

「風立ちぬ」は、堀辰雄の私小説で、結核で死にゆく恋人と過ごした日々の日記です。

この堀辰雄の私小説の主人公、つまり堀自身を、ゼロ式戦闘機やYS-11機の開発で有名な堀越二郎に置き換えて製作されたジブリの風立ちぬですが、子供たちには不評のよう・・・

もともと、原作の内容を考えれば、子供が見ても理解できない内容だと思います。

風立ちぬの原作者の堀辰雄自身も結核であったというし、戦前は結核は死の病。

結核療養所も全国あちこちにありました。

風立ちぬを読んで、真っ先に頭に浮かんだのが祖父のこと。

祖父は結核で30代で亡くなりました。

祖母は結核療養所近くの製糸工場に住みこんで昼間働き、夜は祖父の看病、子供たちは絶対に面会には行かせてもらえなかったようです。

そんな祖父と祖母の姿が、風立ちぬの主人公達の姿と重なるんですね。

チャラい事を言うと、祖父はものすごい好青年でハンサムだったので、祖母は面食いだったのかもしれません。

それはさておき、ジブリは今までも戦争を題材にした映画を製作してきました。

しかし、武器マニアの監督が反戦映画を製作するという矛盾もあったようです。

武器が好きだから戦争が好きなわけではない、堀越二郎も、美しい飛行機を作ったら、時代の流れで武器になったという主旨のことを言っていたようです。

飛行機は夢の実現だったのに、その優秀さゆえに戦争の道具になってしまったということでしょうか、ゼロ式戦闘機の優秀さは世界に認められていますしね。

どこか悲しい現実です。

夕焼け

とは言え、いくら優秀な武器を備えても、それを使いこなす人材がいなければどうしようもありません。

ゼロ戦に乗れるパイロットがどんどん無駄に戦死していき、ゼロ戦がいくら優秀でも、乗りこなせる人がいないという状態になっていました。

日本人はなぜ 人命を大切にしないのかと悩むアメリカ人

戦争の勝利への道は武器にあらず。

アメリカは、捕虜から徹底的に日本に関する情報を収集しました。

その中で、日本人が兵士の命を粗末する現実にとても驚いていたようです。

例えば、戦艦に救命ボートも救命着もない、捕虜になった場合の行動規範もない、欧米諸国にしてみれば驚きのようでした。

捕虜の取り扱いに関しては、ジュネーブ条約で定められていて、それを批准すれば捕虜を強制労働には使えなかったと言います。

日本人は捕虜を徹底的に酷使しましたが、アメリカでは捕虜に対して懐柔策をとり、とにかく有益な情報を引きだすことに専念しました。

そのため、皇居内部や軍需工場の内部が詳細な見取り図にされていて、特に軍需工場は、どこで大事な部品が作られているかまでも分かっていたので、その生産ラインが徹底的に空爆されました。

では、日本側の情報はどうかというと、現在の評価では非常に稚拙なもの、情報収集より精神論で勝つといったところでしょうか。

これでは戦争には勝てません。

アメリカの戦略的情報収集機関トレイシー

アメリカ人にとって最大の難関は言葉でした。

日本語はとても理解するのが難しく、学習も大変だったようですが、日本語の専門学習機関を作って、とにかく徹底的に日本語や日本文化を学ばせました。

逆にいえば、日本がその点に気が付いて、暗号作りに工夫を凝らせば良かったのかもしれませんね。

「トレイシー」は、カリフォルニアに実在した情報収集専門の捕虜収容所です。

もちろん、トレイシーはその土地の名前でも何でもありません。

暗号名ですね。

国内外にずっと秘密にされてきた機関で、最近になってその存在が明らかになり、関連する文書も公開されました。

戦後の重要な文書を、国民に見られる前に焼いて処分した日本政府とはかなり姿勢が違います。

このような点から、日本政府の国民に対する姿勢は戦前とあまり変わっていないかなとも思います。

一体、どのくらいの重要文書が、国民の目から隠すために焼かれたり破棄されたのかわかりませんけど。

トレイシーでは、ジュネーブ条約で禁止されていた盗聴を行ったということですが、同じ条約違反でも強制労働と盗聴とでは、対象となる人への負担が違いすぎます。

だから盗聴しても良いというわけではありません。

戦時下においては、どこの国も手段を選ばずなので、今となってはどちらも責めることはできませんけど。

このトレイシーに関する本を読むと、情報収集能力の差が、そのまま戦争の勝敗に繋がっているといっても過言ではないとわかりました。

この本からはアメリカ人が日本人を非常に丁寧に扱っているような印象を受けますが、現実には日系アメリカ人だけが収容所送りになり、全財産を没収され、ヨーロッパの激戦地に送り込まれました。

基本的に日本人を見下していることは否めません。

風立ちぬは反戦映画か???

映画「風立ちぬ」が悲恋物語以上のことを語ってくれるのかどうか?・・

何故に主人公の堀辰雄を、堀越二郎に置き換える必要があったのか、その答えがでるかな????

堀辰雄の物語だけでは悲哀小説そのものになり、面白くなかったのか、それとも武器好きなのでゼロ戦開発者を登場させたかったのか、ともかく、一度観賞しないといけないですね。

この本は、太平洋戦争の裏話がわかって勉強になりました。

トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所 (講談社文庫)

風立ちぬの原作は、美しい情景が思い浮かぶ名作でした。

映画を見る前に、原作を読んでおくとよいかも・・・・・